映画「怒り」観た【ネタバレあり感想】

映画

怒り(上) (中公文庫)

映画「怒り」を観た。

もともと映画館で予告編を見て気になって原作を読んでいた。原作は上下巻に分かれていて、上巻を読み終わった時点で気になりすぎて、下巻を読むまで待てずにネットでネタバレあらすじを読んでしまったほど面白かった。(ネタバレ読んだのは激しく後悔した。)

で、今回映画版見たわけだけど‥よかったよ。これだけのストーリーを2時間ちょいにまとめるわけだから、話が端折られたり、原作と違う風に展開する箇所もあったけど違和感なく観れた。やっぱり森山未來はすごすぎる。私などにはすごすぎるという拙い言葉でしか表現できないけど、すごすぎるんだよ。前に彼がイスラエルにダンス留学中のドキュメンタリーをみたけど、ダンスもすごいんだよね。

で、怒りの話だけど、一年前に非道な殺人事件が起こり、犯人は逃走中。で千葉、東京、沖縄の三ヶ所が舞台のお話が平行して進み、それぞれ犯人じゃないか?と思わせる人物が登場するんだけどその人物を信じている周りの人たちにフォーカスしている。中でも東京編の優馬と直人の同性愛カップルの話が切ない。超ネタバレだけど→直人がだれか女性と一緒にいるところを偶然目撃して、直人に直接問いただしたけど直人は言いたくないと言う。それでよくよく考えたら直人の素性は知れないし、最近テレビでやってる公開捜査中の殺人事件の犯人にある特徴を持ってるしで、直人は逃走中の殺人犯なんじゃないか?と考え始め、しかもタイミングよく直人はいなくなっちゃうし、、どんどん疑心暗鬼になって、ついに「ケーサツ」から電話がきて直人を知ってるか?と聞かれた時、つい自分を守る行動にでて「知らない」って言っちゃう。大事な電話だったのに。後に直人は心臓を患っており、公園で倒れて亡くなっていたことを知った時の妻夫木聡(=優馬)の演技にはぐっときてしまった。直人は優馬にこのように裏切られた?ことを知らずに亡くなったのは唯一の救いのように思う。見ているこちらが、直人が傷つくところを見たくないと思うくらい純粋な直人を演じきった綾野剛もすごいね。

まあ東京編はこんな感じなんだけど、とにかくこの「怒り」は、周囲の人間を信じることの難しさだったり信じてしまって裏切られてしまう残酷さだったりを描いている。殺人事件の犯人は精神的におかしいわけだけど、最近はリアルに様々な殺人事件が毎日のように起こりすぎていて、犯人の狂気も、現実にありそうな狂気で、それが一番おそろしい。沖縄編では女の子が米兵に暴行されるシーンがあり、これもどこか遠い話ではなくてリアルに起こっていることだと思うと本当にやるせなくなる。ゲイカップルだって、日本ではまだマイノリティー扱いだけど、相当数存在していて生きにくさを感じている人もいるのだろうし、なんだかこの映画はとてもリアルな感じがする。うまく言えないけど、現実はこんなんで、じゃあ何をどうすればいいのっているやり場のないそれぞれの怒りを感じた。

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